2005/ 3/25

日常的に体感するアクセシビリティ

アクセシビリティに関しては、いわゆる健常者は気にしないというか、気付きにくい面が多々あります。

こうした面で、健常者 (?) としては一番気付きやすいのは、普段見ている画面の色なのではないかと思っています。

Web サイトなどでも、たとえば WCAG などで文字色を指定したら十分なコントラストを持った背景色をしっかり指定しよう、といった点が書かれています。こうした点に対して十分に意識を持った人は、必ず意識して指定していることでしょう。

しかし、やっぱりうっかり忘れてしまう事もあるわけで、こうした点を普段自分で見ている画面で気付きやすいように、Mozilla/Firefox で userContent.css に html { color: white; background-color: black; } といった指定を入れてあります。

で、某弊社 (何処) (某 H 社ではありません) などではこうした点などを普段気にすることも全くなく、快適に過ごしていたりします。

しかし、根本的に私はアプリケーション開発者です。当然、Windows 用のアプリケーションとかを作る側でした。そして、こうして作ったアプリケーションが、ユーザが自分で見やすいように指定しているはずのシステム標準色を反映しないというアクセシビリティが低下するようなことは嫌な訳で、Windows 2000 などでも文字色を白、背景色を黒にして、普段とは全く配色が異なる (それでいてそこそこ見やすい) 色設定にしています。

これにより、自分が作ったアプリがシステム指定色をしっかり利用しているかどうかを確認していたりするわけです。

当然、他人が作ったアプリケーションでも、こうした色設定は反映されます。これによって、システム指定色を見ないダメアプリとかが分かるわけです。

問題は……こうした辺りをかなり意識しているはずの Microsoft Office などが、微妙な感じだったりする辺りなのです。会社間でやりとりする文書も、Word や Excel などは非常によく利用されていると思います。

しかし、Word を利用する場合など、実はいろいろと落とし穴があります。文書全体の背景色は、システム標準色を使用していますが、図形描画を利用して図形を置くと、背景色は指定していない場合、標準で設定されている色の白になります。

ここに文字を書いた場合、かなり悲しいことになります。

Windows の標準配色をそのまま使い続ける場合、背景色が白で文字色が黒というのが通常です。このため、図形は背景色が白であっても、文字色が自動でも黒い文字となるため、ユーザが気付かない間に非常に読み辛い場合がありうるという事があります。

これを避けるためには、背景色が白と明示されているので、明示的に文字色を黒と指定するか、文字色が自動であるので、背景色も塗りつぶさない事を明示するかの二択になります。要は CSS で言う background-color: white; に対する color: black; か、color: inherit; に対する background-color: inherit; です。そう考えると、WCAG を意識している人には、実に普通の事だと分かると思います。

こういった環境で生活している人は気付いても、そうじゃないと正直言って誰も気付かないような罠を、Word や Excel では仕込んでいる訳です。嫌がらせかと思いますね。orz

ちなみに、某弊社 (何処) の社内文書でもそういったのは多いです。やっぱり、声高に誰か言わないと、こんな罠気付かないって事ですね。

ということで、会社の環境でもこの配色を利用している訳ですが、「んな配色に設定するのが悪い」とか言われてしょんぼりしています。かなり。っていうか、「うわ、黒っ」とか言われます。え~、いいじゃん、別に。

試してみたい人は、Windows XP であればテーマファイルを普段から公開してますので、お気軽にどうぞ。ちなみに、私は少しずついじりながら (Windows 2000 の頃から) 数年使ってます。慣れすぎて、標準配色とか目が痛くて使えません。

なお、常用するのはそれなりに根気が必要かもしれません。具体的には、C-a して全文字反転させて読んだり、それでも読めない場合は View Source して HTML ソース読んだり、図形に置かれた文字は明示的に黒に指定して読めるようにしたり。慣れないとかなり面倒だと思います。

慣れ切れなかった愛壷たんは、挫けて 1 ヶ月ほどで色設定変えちゃいましたが。;)